AI動画で感情を伝えるために考えていること

AI動画で猫や動物のキャラクターを作っていて、「うれしそうに」「悲しそうに」と指示したのに、思ったほど感情が伝わらなかったことはありませんか。

人間のキャラクターなら、眉や目、口元が変わるだけでも、うれしいのか悲しいのかを読み取りやすいと思います。

でも、私が作っているのは、人間のように振る舞わせながらも、見た目や身体の動きはリアルな猫に寄せたキャラクターです。

リアルとファンタジーのギリギリのところで描こうとすると、「心配そうな顔」と指示しても、表情がほとんど動かないことがあります。少し変化していても、それが心配している顔だと伝わらないこともある。

だから私は、顔の表情だけで感情を見せようとせず、その前後に体全体の動きを置くようになりました。

リアルな猫と、擬人化した猫のあいだで

猫の感情を分かりやすくしようとすると、人間のように眉や口元を大きく動かしたくなります。

たしかに、それなら感情は読みやすくなります。ただ、動かしすぎると、今度は私が作りたい猫から離れてしまう。

リアルな猫らしさを残したまま、人間のような気持ちを伝える。この二つを両立させようとすると、顔だけに任せるのは難しくなります。

だからといって、「心配そうな顔」がいらないわけではありません。心配そうな顔に変わること自体は必要です。ただ、その変化を見ている人が読み取れるように、顔へ至るまでの動きも一緒に作る必要がありました。

トラがクロに気づくまで

『窓の向こうの夏祭り』では、祭りを楽しんでいたトラが、家に残ったクロのことに気づき、祭りを離れて戻る場面を作りました。

最初のトラは、山車の房飾りに夢中です。前脚で房に触れ、揺れる房を目で追っています。

そこから、前脚の動きが止まる。房を追っていた注意が離れ、片方の耳が先にクロのいる方向へ向く。もう片方の耳は、まだ祭り側に残っている。そのあとで顔を上げ、心配そうな表情へ変わります。

次のカットで、二階の窓辺に一匹でいるクロを見せました。そしてトラは、祭りを離れて家へ戻ります。

「急に心配そうな顔になる」という動きだけでも、場面の出来事としては間違っていません。でも、猫の顔だけでは、その変化が心配として伝わらないことがある。

この場面を作っていて、感情は表情が変わった瞬間だけでなく、さっきまでの動きとの差にも表れるのだと気づきました。

顔より先に、動きが変わる

房へ向いていた注意が途切れ、窓辺のクロへ向き直ります。表情だけでなく、直前までの動きとの差で気持ちの変化を見せた場面です。

止まる動きにも感情がある

ここで考えたのは、心配を表す動きをいくつ足すかではなく、トラの動きがどこで変わるかでした。

前脚が止まることも、耳が横を向くことも、それだけなら小さな動きです。耳を動かせば心配に見える、という決まりがあるわけでもありません。

それでもトラの気持ちが変わったように見えるのは、直前まで房に夢中だった姿を見ているからです。

動いていた前脚が止まる。追いかけていたものから注意が離れる。祭りへ向いていた身体の一部が、クロのいる方向へ動き始める。

何をしたかだけではなく、さっきまでしていたことがどう変わったかを見る。その差の中に、感情が出ることがあります。

感情は、次の行動にも表れる

トラの心配は、顔や耳の動きだけで終わりません。そのあと、楽しかった祭りを離れてクロのもとへ戻ります。

感情を、次の行動までつなげる

心配そうな顔で終わらせず、山車を降りてクロのもとへ戻る行動までつなげています。

祭りに残ることもできたのに、クロを選んだ。その行動まで見ることで、トラがどれほどクロを気にかけていたのかが分かります。

もし心配そうな顔をしたあと、何事もなかったように房遊びへ戻っていたら、同じ表情でも違う意味に見えたはずです。

顔に出た感情が、その後の行動をどう変えたのか。そこまでつながると、キャラクターが本当に何かを感じているように見えてきます。

人間のキャラクターを描くときにも

この作り方は、猫の表情だけでは感情を伝えにくかったことから始まりました。でも、顔の前後にある体の反応まで考えること自体は、人間のキャラクターにも使えます。

人間を描く場合でも、うれしそうな顔になる前に何を見たのか。悲しそうな顔になったあと、何をするのか。顔より先に、身体のどこが動いたのか。

そこまで考えて作ると、表情が感情を示す記号ではなく、その場で起きた出来事への反応に見えてきます。

私も今でも、プロンプトには「心配そうに」「うれしそうに」と書きます。その言葉を使わなくなったわけではありません。

ただ、その前に何をしていたのか、どこで気持ちが変わったのか、その感情から次に何をするのかも一緒に考える。

リアルな猫の顔だけでは伝えきれなかったことを、前脚や耳、身体の向き、その後の行動で見せる。今は、そんなふうに猫たちの感情を作っています。

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